社長宅のリノベーション物語 22 ~45年前の大工技術~
2024年10月13日 08:55:00

解体工事も順調に進み、骨組みだけになりました!!


外壁は一部既存部分を残す計画でしたが、窓等を撤去してしまうと
外壁部分がほとんど残らず、そこに左官で外壁を作ったとしても
いずれひび割れて雨が入る可能性があったので、外壁を全て撤去することにしました。


解体してみると、「45年前にこの家を建てた大工さん達の技術の痕跡」が見られました。

45年前・・・僕が生まれた年です。

その頃は、団地造成が盛んで住宅がバンバン建っていた頃です。

イメージでは、質より量で建てられた家でしたが、解体して見てみるとその技術に感心しました。

その1つ1つを紹介しますね(^^)/


①継手(つぎて)

2本の木材を1本に繋ぐ技術です。

今では、工場でプレカットして現場に運ばれますが、昔は現地で加工していたんですね。

継手の方法は、沢山あります。まさに大工さんの技術力の賜物です。


②火打ち(ひうち)

柱と梁で建てる木造住宅を「軸組み工法」と言います。

柱と梁で組み立てるので、どうしても横揺れ「地震」に弱いのです。

その為に「水平面」の揺れに対応するために、角々に「火打ち」を設けます。

これで揺れにくくなります

この家には、しっかり火打ちが入っていました。


③筋交い(すじかい)

「水平面」の揺れに対しての「火打ち」

「垂直面」の揺れに対しての「筋交い」があります。

今と作り方が違っています。

今は、土台と梁を削らないように「金物」で固定しますが、

45年前は、土台と梁を筋交いが入るように削り、5本の釘で固定していました。

しかし、これだと地震で揺れた時に、筋交いと土台や、梁との接触部に力がかかり

そこで筋交いが折れてしまい、耐震性能が落ちてしまいます。

今回のリノベーションでは、既存の筋交いを残し、外周周りの柱の外に「耐震ボード」で固めます。

この耐震対策の話は、また今度。


④しゃくり

和室は「真壁」と言って、柱が室内に見える作り方をしていました。

柱の内側に壁を作って、そこに「ジュラク」という砂のようなものを塗って仕上げていました。

ジュラクは、年と共に痩せてきます。そうなると、柱とジュラクの間にすき間が出来てしまいます。

それを防ぐために、柱に溝を掘ってそこにジュラクを塗りこみます。その作業が「しゃくり」です。

このひと手間で、柱と壁の間にすき間が出来にくくなります。

これも現場で、大工さんが加工したんでしょうね。

ありがとう、45年前の大工さん。


⑤鎹(かすがい)

2つの木材を繋ぎとめる「コの字型の金物」です。

縦と横の木材や、横の木材の下に補強で入れた材料を繋ぎとめる役割があります。

鎹は、多くの場所に使われていました。


⑥アビトン

これは、土台に使われる固くて水に強い木材です。

今では、希少価値であり、あまり使われません。

その代わりに、木材に腐食剤を注入した土台が多く使われています。


リノベーションは、昔の「技術」と「材料」をうまく活用し、

活かせるものは活かし、技術向上で更新すべき箇所は、手を加えていきます。

そうすることで、家は長く持たせることが出来ます。

資源を大切に出来るリノベーションは、素敵です★



つづく